向上寺縁起

寺縁起

 向上寺は応年七(1400)年地頭・生口守平公が 瀬戸田潮音山の観音の霊場に一寺を建立し、臨済宗 仏通寺派開山勅特賜仏徳大通禅師愚中周及大和 尚(1323~1409年)を迎えて開きました。 聖観世音菩薩(秘仏)を本尊とし、古来、災害鎮圧と興隆繁栄の祈願寺として 崇敬されました。
伽藍は明治6年に焼失、本堂は三原近在の寺院解体による古材で 再建しましたが、その後、老朽破損・解体し、現在は仮本堂にて 創建六百周年の復興を目指しています。

向上寺と瀬戸田

 瀬戸田の町は古い町であります。古往今来住民は常に移り変り、又市街の様子も 年々変わっており、山の形野の姿までも、時代の推移と共に日一日と変貌してゆ きます、中に独り潮音山上の塔のみ古き瀬戸田の歴史と文化を誇り伝えているかに 思推せられます。この塔は構造手法の優美さは、只に之が国の宝たるのみならず、 世界的見地からするもたぐいまれなる真に価値の高いものとせられています。 昭和36年からの根本解体修復補強、57年の全面塗り替え事業等に依って、 今後永くこの誇りを伝えてゆくことでありましょう。
 向上寺は町の北鬼門の鎮護として存立し御本尊聖観世音菩薩は、今日まで町 の災障を防除し、古来島の災害鎮圧と興隆繁栄の祈願寺として崇敬せられ、今 後も永く町の守護に任ぜられるでありましょうし、又誠心を持って祈願するものには、 皆悉く如意満足の福徳を施与せられるでありましょう。