国宝 向上寺 三重ノ塔

瀬戸田水道を見下ろす潮音山に建つ、 和様を基調とし唐様を取り入れた朱塗りのみごとな三間三重塔婆です。 1432年(永亨4年)に建てられ、 国宝の三重塔の中では最も新しいものです。 この塔の特徴は組物に入れられた 装飾彫刻です。 尾垂木下の二手先目の肘木先端に 見事な彫刻が施され、その彫刻は、 植物の葉を抽象化した若葉という 図案になっています。色彩と、力強い刻線が あいまって強烈な印象を与えています。 また、各重に花頭窓を配し、四隅の親柱の 飾付けには珍しい逆蓮華(蓮の花を逆に かぶせた形)が見られます。 建立年が明らかで、唐様の手法が極めて濃厚で 、細部にも特色ある手法が多い点から、禅宗寺院の 塔婆として建築史上貴重なもので |
聖観世音菩薩(秘仏)

唐土肇澄津師の作と伝えられ、九層の蓮台上にまします座像。 古来秘仏として33年毎に開扉御供養することになっています。 往昔より霊験あらたかにして数多くの人々が御利益を蒙っています。 <本尊聖観音伝説> その昔、豊後の国に小五郎という心優しく健康で利口な信心深い 若者がいました。伊予の国に渡り、いつの日か観音菩薩の尊像を得んと 夢見、木炭焼きに励んでいました。この頃、都のある姫君が「汝の夫となる 者は伊予の国の炭焼き、小五郎」という夢のお告げを受け伊予へ赴き、 小五郎と夫婦になり、持参した黄金を差し出しました。小五郎はこの黄金に よって唐の肇澄から尊像三体を迎え、筏三つに乗せ「縁のある地へ」 と願いを込め海に流しました。そのうちの一つが流れ着いたのが 生口島瀬戸田の桜が浜でした。島の人が潮音山の頂きに奉って拝祈念 すると霊験あらたかで信仰が広まりました。 |
梵鐘(県重文)
橘是信の作。高さ竜頭より72cm,直径59.5cm 厚さ2.2cm。当地で鋳造され島人のかんざし、 キセル等の金・銀が入れられているといいます。 音色の良さで有名。由緒ある鐘として大戦中の供出も免除されました。